研究活動について
静岡市歴史博物館では、徳川家康、今川氏、駿府城下町、東海道、静岡藩を中心に、静岡市の歴史に関する調査研究を行っています。研究成果は、展示や講演会、シンポジウム、研究紀要などで発表していく予定です。
研究室メンバー紹介

大石 学
研究テーマ:日本近世史
江戸時代は、100年以上続いた戦国時代を克服し、直前の豊臣秀吉の朝鮮侵略を収拾し、250年以上に及ぶ、国内でも海外とも戦争のない「平和」な時代でした。「戦争」から「平和」へこの歴史的転換を達成した徳川家康の政治とこれに続く江戸幕府の政治の移り変わりについて、国家(首都・官僚)と地域の関係を中心に研究しています。
代表著書『近世日本の統治と改革』『首都江戸の誕生』『徳川吉宗』

廣田 浩治
研究テーマ:日本中世史
中世荘園村落史、および徳川家康の研究
もともとは中世から近世初期にかけての荘園・村落を舞台に、農民、武士、僧侶など地域社会に生きた人々の歴史を追究してきました。静岡でも近世初期にかけての郷村や東海道ぞいの宿・町、およびこの時代に天下を統治した大御所徳川家康の政権について研究を進めています。地域や民衆の歴史はそれらの自治や自主性ぬきには議論できなくなり、家康による駿府城築城や都市駿府造成も、地域や民衆の観点に立った理解が欠かせません。家康政権の政策や運営についても、根拠が曖昧な伝説や以前からの学説を見直し、新たな史料を踏まえた実証的な考察が必要になってきています。信頼できる文書史料や記録にもとづき、家康政権の実体を考えていきましょう。

森 昌俊
研究テーマ:日本古代史
家康と将棋の関わりを読み解く
日本の古代史を研究しています。しかし、博物館で古代 の資料を取扱う機会はほとんどありません。そこで、当 館の基本展示の中心テーマである家康と将棋や囲碁との 関係に注目しました。家康は、権力を握っていく過程で 当時の将棋や囲碁の強豪との交流を深め、幕府や将軍の 権威を高めることに利用したと言われています。家康が 将棋とどのように関わろうとしたのか、考えていきたい と思っています。

鈴木 将典
研究テーマ:日本中世史
駿府を治めた戦国大名 今川氏、武田氏、徳川氏
戦国時代に駿河を治めた今川氏・武田氏・徳川氏の領国 支配について、静岡市内の古文書を調査しています。今 川氏は駿府を約 230 年にわたって治め、分国法の制定な ど領国支配の仕組みを整えました。また、家康は豊臣政 権下で領国の「改革」を行い、農村支配の仕組みを整え ました。最近、今川氏や家康に関する研究は大きく進化 しています。これらの成果を展示や講演などに反映させ、 皆さまに知っていただくことが私の重要な仕事です。

熊谷 すずみ
研究テーマ:日本中世史
流通・海上勢力(海賊衆など)
守護大名(大内氏・今川氏)の研究
「海賊」という言葉からは、『ワンピース』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』のイメージが先行し、海のギャングを思い浮かべるかもしれません。しかし、中世における海賊は、織田氏の水軍として知られる九鬼氏、今川氏や武田氏の水軍である向井氏など、大名に帰属し、海のナワバリを警固する衆や瀬戸内海の村上氏など、拠点とする島をナワバリとして、関料(通行料)の徴収や船で人や物を運ぶことで生計を立てている衆を指します。この海賊に関わる資料から、大名領国における海のナワバリ(制海権)と流通構造についての研究をしています。

増田 亜矢乃
研究テーマ:日本近世史
静岡浅間神社の建築からみる駿府
江戸時代の静岡浅間神社は二度の火事で全焼し、文化元 (1804)年から約 60 年にわたって造営工事が行われま した。当時建てられた建物は現在、国の重要文化財になっ ています。その造営は予算確保から施工まで、駿府の役 人や職人たちが中心となって行われました。当時の工事 記録を見ると、それぞれの建物の位置づけを知ることが できます。これらの記録をつうじて、駿府という地域の 位置づけを考える手がかりになるのではないかと考えて います。

塩田 奈実
研究テーマ:日本近世史
江戸時代の人々の暮らし
徳川家康によってもたらされた「平和」な時代には、各地にその歴史を伝える文書が多く残されることとなりました。駿府では、特に幕府の直轄地となってから町人による自治が行われ、運営の様子も記録に残されています。また周辺の村においても文書は作成されました。毎年納める年貢について、その配分や土地の状況調査の記録は毎年書き留められ、人々の間で意見が衝突すると訴訟に至り、事態を収めようと周囲の人々や役人が働きかけた記録も少なくありません。商人が作成した帳簿や商品売買の記録からは、モノの流れを知ることもできます。
そのような文書史料を中心に事実を読み解きながら、当時どのような生活が営まれていたのかを知る手掛かりを見つけてご紹介していきたいと考えています。
研究成果
研究成果については下記ページをご覧ください
研究成果