研究活動について
静岡市歴史博物館では、徳川家康、今川氏、駿府城下町、東海道、静岡藩を中心に、静岡市の歴史に関する調査研究を行っています。研究成果は、展示や講演会、シンポジウム、研究紀要などで発表していく予定です。
研究室メンバー紹介
中村 羊一郎
専門:民俗学・日本史
庶民のお茶を東アジア各地で研究、また食文化や静岡県の地域の歴史等を長年にわたり研究しています。元静岡県史編さん室長。
代表著書『番茶と庶民喫茶史』
廣田 浩治
研究テーマ:日本中世史
民衆・村落・地域社会の研究
近世初期にかけて、村落や荘園といった地域社会を舞台 に農民、商人、武士、僧侶など多彩な人々の歴史を研究 しています。駿河は住民が「郷」という地域をつくって いて、また東海道ぞいの「宿」にも様々な職能をもつ民 衆が住んでいました。このような民衆や彼らがつくる集 団は戦国時代には、自分たちの権利を守る「文書」を、 大名の今川・武田・徳川氏からもらうようになります。 特に静岡では町や宿の商人の文書が目立ちます。 また徳川家康の 1589 年の定書をもっている農村(郷や 村)があります。年貢の納入を定めたこの定書は農村に とっても大事な文書でした。
森 昌俊
研究テーマ:日本古代史
家康と将棋の関わりを読み解く
日本の古代史を研究しています。しかし、博物館で古代 の資料を取扱う機会はほとんどありません。そこで、当 館の基本展示の中心テーマである家康と将棋や囲碁との 関係に注目しました。家康は、権力を握っていく過程で 当時の将棋や囲碁の強豪との交流を深め、幕府や将軍の 権威を高めることに利用したと言われています。家康が 将棋とどのように関わろうとしたのか、考えていきたい と思っています。
青木 祐一
研究テーマ:日本近世史、アーカイブス学
文化資源(アーカイブズ)の保存と活用
当館のあるこの地に、かつて「葵文庫」と呼ばれた図書 館がありました。葵文庫の名前の由来は、徳川家と静岡 とのつながりにあります。静岡へ移された旧幕府の蔵書 が当時の最先端の教育を支え、県内の貴重な歴史資料を 保存・公開する機能を果たしていました。博物館は「展 示」が注目されがちですが、かつて葵文庫が果たしてい た資料保存と活用という役割を引き継いでいくことも当 館の重要な使命と考えています。
鈴木 将典
研究テーマ:日本中世史
駿府を治めた戦国大名 今川氏、武田氏、徳川氏
戦国時代に駿河を治めた今川氏・武田氏・徳川氏の領国 支配について、静岡市内の古文書を調査しています。今 川氏は駿府を約 230 年にわたって治め、分国法の制定な ど領国支配の仕組みを整えました。また、家康は豊臣政 権下で領国の「改革」を行い、農村支配の仕組みを整え ました。最近、今川氏や家康に関する研究は大きく進化 しています。これらの成果を展示や講演などに反映させ、 皆さまに知っていただくことが私の重要な仕事です。
太田 那優
研究テーマ:日本近世史
江戸時代の裁判記録からみる駿府のまちの人びと
江戸幕府の評定所に残された裁判記録をつかった研究を しています。駿府は幕府の直轄地だったため、こうした 記録から生き生きとした人びとの動きを知ることができ るのが魅力です。駿府のまちでは、幕府から派遣されて くる武士、代々駿府に暮らす町人、神事をつかさどる寺 社の僧侶・社人など、さまざまな身分の人々が近接して 暮らしています。こうした記録を追うことで、駿府のま ちの特徴が浮かび上がってくるかもしれません。
増田 亜矢乃
研究テーマ:日本近世史
静岡浅間神社の建築からみる駿府
江戸時代の静岡浅間神社は二度の火事で全焼し、文化元 (1804)年から約 60 年にわたって造営工事が行われま した。当時建てられた建物は現在、国の重要文化財になっ ています。その造営は予算確保から施工まで、駿府の役 人や職人たちが中心となって行われました。当時の工事 記録を見ると、それぞれの建物の位置づけを知ることが できます。これらの記録をつうじて、駿府という地域の 位置づけを考える手がかりになるのではないかと考えて います。
宮崎 泰宏
研究テーマ:日本中世史
今川義元の領国支配
「海道一の弓取り」と称され、戦国時代において屈指の 有力戦国大名であった今川義元。織田、北条、武田と相 対しながら、駿河・遠江、そして三河を支配し、今川の 隆盛を極めさせた非凡な領国経営手腕を発揮しました。 のちの天下人となる徳川家康にも多大な影響を与えた、 駿河の支配者について、よりその研究を深めるとともに、 多くの人に今川義元という人物を、この博物館において 顕彰していればと思っています。
研究成果
研究成果については下記ページをご覧ください
研究成果